自分も原爆に被爆しながら献身的に被害者の救護にあたり、病床に斃れてからも、平和を希求する多くの著書を書き続けた長崎医大教授・永井隆博士について歌った歌です。
コロムビアから作詞の依頼を受けたサトウハチローは、最初、ベストセラーに便乗したきわもの企画だと思って断ったそうです。しかし、その後、永井から贈られた著書を読んで感動し、「これは神さまがおれに書けといっているのだ」と確信して、全身全霊を捧げて作詞したといいます。
それは作曲の古関裕而も同じでした。そのメロディがすばらしいのは、短調で始まった曲が、「なぐさめ、はげまし……」のところで明るい長調に転じる点です。これによって、悲しみにうちひしがれていないで、未来に希望をもとう、という歌詞のメッセージが強力に増幅されて伝わってきます。
サトウハチローも古関裕而も、数多くのヒット曲をもっていますが、あえて1曲に絞るとすると、世間に与えた感動の大きさという点で、この曲が最高傑作といってよいのではないでしょうか。